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世界に散らばるアイルランド系の人々 ー 彼らが新天地を求めた理由
アイルランド南部の商業都市コークから列車で20分、河口を下ったところに位置する海辺の小さな町、コーブ。ここは豪華客船タイタニック号が最後に寄港した場所である共に、19世紀半ばから、飢餓と貧困に苦しむ250万人もの人々が、新大陸に希望と未来を求めてアイルランドを後にした歴史的重要な意味を持つ土地でもあるのです。
1845年から1849年にかけて、アイルランドは空前の大飢饉に襲われました。主食であるジャガイモが病害のために凶作、つづいて1847年に飢饉が蔓延し、飢餓と貧困に苦しんだ人々のうち、100万人以上が死亡したと言われています。(1840年初頭の総人口は800万人)生き残った人々の多くはこの過酷なアイルランドの地を去り、他国へ移ることを余儀なくされました。以来100年に渡りこの移民の歴史は続き、その多くはアメリカ、カナダ、オーストラリアなどへ移住して行きました。しかしながら、彼らの心に宿るケルトの精神とノスタルジックな感傷は今も脈々と受け継がれています。世界中に散らばったそのアイルランド移民の子孫たちは今、自分自身のルーツを見出そうと絶えることなくアイルランドを訪れています。
ダブリンの波止場にも、飢饉当時の人々の様子を回顧する記念碑があります。絶望的な表情を浮かべた六体の農民の黄ばんだ銅像像は激しくやせ細り、はだしにぼろをまとい、傍にはあばら骨の浮き出た1匹の犬がいます。近代化されたダブリンの町並みの一部としてはあまりにも異色な風景として、人々の目に留まるかもしれません。それらが皆、ダブリンの街に背を向けて立っている様子は、あたかも海を越えて行きたいと切望するように、遥かかなたを見つめています。
各地の資料館や博物館を訪れる時、大飢饉当時を物語るものは他にも数多く見られるでしょう。アイルランドの文化を理解する上でも、それらの遺物から歴史的事実を見つめてみることも大切でしょう。
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