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アイルランド物語
 

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Vol.2
街を歩けばパブに当たる?アイルランド人とパブの切っても切れない関係


パブのセッション日曜日の朝10時、人影もまばらなダブリンの町中を歩いていて、ふとその辺のパブのドアを開けると、タバコの煙のもやの中に、どこから来たのかと目を疑いたくなるくらい人々がひしめいていて、ギョッとしたことがあります。日本なら平日のアフターファイブや週末の午後に行くのが普通の場所。そう、アイルランドではパブ=パブリック・ハウス(公共の場)という語源の通り、老若男女問わず、知人と語り合う憩いの場として、TVのサッカー中継に熱狂する場として、ランチタイムにはビジネスマン達の昼食の場として、そして時には音楽の生演奏に耳を傾けるエンターテイメント的要素を持つ場として、なにはともあれ国民の生活に大いに浸透しているのです。このパブ発祥の地が、実はアイルランドであるということは、意外に知られていないかもしれません。

そもそもアイルランドにパブが誕生したのは17世紀後半と言われています。この時代は英国でピューリタン革命をおこしたクロムウェルがアイルランド全土を征服し、弾圧されたカトリック教徒の住民達が政権奪回の機を伺いながら、各地でひそかに謀議をめぐらしていた頃です。この秘密会合にうってつけの場所がパブだったというわけです。当初パブはいわゆる商人宿としての性格が強く、同時に商人同士が取引を行う交易の場所としての役割も果たしていました。やがて、商人達が扱うコーヒーや紅茶、タバコ、ワイン、スパイスなどを店内でも販売するようになり、一緒に食事も提供されはじめました。18世紀後半にはビールが発明され、パブは宿屋兼雑貨屋から次第に居酒屋へと変貌していくことになったのです。

ところで、パブといえばイギリスにあるパブも有名です。このイギリスのパブとアイルランドのパブは似ているようで、性質がかなり違うのです。たとえばロンドンのパブというのはビールやウィスキーのメーカー直営か、もしくは資本を投入している店が90%以上を占めているのに対して、アイリッシュパブは逆に90%以上が個人所有の土地や建物を基盤にした生業店なのです。経営者は親から子へ代々に受け継がれ、長い歴史と伝統を守り続けてきました。実際アイルランドの全国各地には、創業200年を超えるような古い店が数々存在しています。10年前も今も変わらぬ内装、薄暗いけれどそれでいて温かい、昔の人々の気配すら感じられる空気に懐古的な気分になる場所。それだけにパブは地域の人に愛され、日常生活に根ざしているのでしょう。そして現在では、地元人の単なる居酒屋ではなく、世界各国から旅行者が訪れる観光要素としても注目されています。あちこちのパブをはしごして、話好きのアイルランド人と共に語り合うのもまた楽しいものです。
 
 
 
 
   
 
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